雨粒が体を叩く。痛いだろうけど、痛みも感じない。
ただ降り続く雨の中を私は歩いていた。
雨がうるさい。
でも静かは嫌だ。
ひとりも嫌だ。
外を歩いていれば、道行く人がいる。
──あぁ、私ひとりじゃない。
ねぇ
お父さんは、嫌なことがあっても頑張っていれば良いことがあるって言ったよね。
────まだ、まだ神様は私から大切なひとを奪うの?
神様を信じて、私、神様に願ったよ。
おばあちゃんを元気にしてって
一生懸命
ずっとずっと祈ってたのに。
…………なんで聞いてくれなかったの?
私の声なんか聞こえないんだ。
やっぱりいないんでしょう?
───今さら、神様を信じても、もう遅いんだ。
遅かったんだよ。
────もう、私はひとりになった。
本当に、ひとりになったんだよ。
─────独り……………。
泣かないよ。
だけれど悲しいんだ。
もう、誰もいないんだ。
ひとりになったんだ。
……独りに──────。
雨の降り頻る暗い夜道の中、電灯があちらこちらから輝き出す。
その中で私は座り込んだ。
────雨が、ようしゃなく叩きつける。
「────心!!!」
「…………え?」
声が、聞こえた。
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