元輝に送ってもらって家に着いた途端、雨は急に激しくなった。
まるで
まるであの時のように。
「…………や、だ………。」
急に怖くなった。
何か起こるような気がして、怖い怖い怖い。
お父さんとお母さんが家を出て行って、おばあちゃんと待っていた日もこんな雨だった。
待っているのは凄く不安だった。小さいながらに何かを感じていたんだ。
だけど、だけどおばあちゃんもいた。
一人じゃなかったもの、だからそんなに怖くなかった、怖くなかったの。
でも
でも今は
「―――ひとり………」
とりあえずリビングに入った。急いで電気をつけて、気持ちを落ち着ける。
一瞬、元輝を追いかけようかと思った。
だけど今の状態で、一人で雨の中出るなんてできやしないと、そう感じてやめた。
……携帯。
そう思って電話をしてみた。だけど出ない。
…雨の日、傘をさしていて、携帯の音に気付くことも、開くこともないんじゃないか。
――あぁ、やっぱり私は一人なのか。
雨はまだ降り続いている。
雨の音がやけにうるさく聞こえる。
RURRRR.....
静かに電話の音がなりだした。
足取りは重く、ゆっくりと。
電話をてにかけて静かに問う。
電話の向こうからの声は、私の願っていた言葉を言ってはくれなかった。
───文子さんは亡くなられたよ。───
ほらやっぱり
神様なんて、最初からいなかったんだ。
------------------------------------------------
← ◇ →
|