―――今日も雨、か。
独特の雨の音で目が覚めた。
雨の日は嫌い。
暗い中でただずっとずっと信じて、お母さんを待っていた時の窓の外からの音。
ザーザーと終わりのないような激しく地面を叩く音。
――怖い。
だけどこんなところで布団にくるまっていても何も始まらない、変わらない。
結局自分でなにかをしなければ、何も起こらないんだ。
神様は何もしてくれない。
…純粋な気持ちでひたすら待っていたあの時だって
知らせを聞いて嘘だと思って必死に空を仰いで叫んだあの時だって
結局何も変わらなかった。
もう運命のレールに私は乗ってしまっていて
今さら止めることなんてできなくて
結局二人は帰ってこない。
目の前にある現実は現実でしかなく
幼いながらもそれを実感したのだ。
いつもなら、窓からの光がカーテンの隙間から洩れて、眩しいくらいに輝くのに、
雨の日は、嘘みたいに暗い。
なんとなく動く気がしなくて、ただ、布団の上で座っていた。
「……朝も、嫌いよ。」
明るいけれど、ひとりだから。
比較的ひとりの時が多かったけれど、いつまでも慣れないような気がする。
…怖い。
またこのひとりのときに、何かが起こるかもしれない。
そう思えば思うほど、怖くてたまらない。
頭の中で、どんどん張り巡らされていく思い。
ひとりになればなるほど、露わになる。
嫌なことばかり考えてしまって、止まらないのだ。
――駄目だ、起きなくては。
重たい身体を起こして、支度をする。
朝ごはん、作らなきゃ。用意、しなくちゃ。
雨も、朝も嫌い。
でもそんなこと誰にも言ったことないけど。
傘をさして外に出てみたら、起きたときほどの雨ではなくて
雲間からまぶしい光がさして、雨も小雨になっていた。
「――――傘は、いらないかな。」
傘を閉じてかすかな雨を浴びながら私は学校へと向かった。
太陽の光が、雨に反射し、美しい。
そんな光に包まれ、私は、空を見上げて思うよ。
――――神様は、いますか?――――
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